台湾大学実験林は、民国前10年(1902年)に設立され、その前身は「東京帝国大学農学部付属台湾演習林」で、民国38年(1949年)台湾省政府から台湾大学に移管され、民国39年(1905年)、その名称も新たに「国立台湾大学農学院実験林管理所」となりました。その間、7回に及び組織規定の改正と、民国91年(2002年)農学院が「生物資源および農学院」へ名称改名したのを経で、「国立台湾大学生物資源および農学院実験林管理所」となりました。時代の移り変わりや社会からの要望に従い、台湾大学実験林の設立の趣旨は、「教育実習」、「試験研究」、「モデル経営」から、「教育実習」、「学術研究」、「モデル経営」更に「資源の保護」へと、訂正されました。

既に50年以上にも渡り、歴代学校長、院長および学科主任の監督の下で、台湾大学実験林は多大な貢献と成果をもたらして来まらし、近年では、台風ハーブ、921地震、台風トラジなどの大規模な自然災害により、実験林区内の地形や各種施設全体が破滅的な被害を蒙りましたが、再建に向けたこの数ケ年の歳月の間、研究員らは少しの気の緩みも許されない中で、生まれ変わったの様な実験林の姿を国民に見てもらう為に、一心同体で、積極的に全力を尽くしました。例え「自然レクリエーション(開放遊楽区)」の設置は、実験林設立の趣旨や世界的な風潮に相応しいとのことから、台湾大学実験林審議会の同意の下で、その計画が始動しました。

民国90年(2001年)から、台湾大学実験林は21名の研究員が常に在駐し、過去のあらゆる資料を取り纏め、重要な研究課題の解決に取り組み、研究手法や資料の解析に、全力を挙げて、実験林研究の質の向上に専念ています。

現在、政府組織再編成、学校の法人化、生態保護活動の動きや、地球温暖化、水資源危機などの世界的重大課題に伴い、台湾大学実験林は新たな試練と挑戦に直面しています。ただ私たちができることは、先輩方が築き上げた良質な基盤をもとに、進歩しつつある科学技術と融合しながら、国際的な学術交流の基盤として生まれ変わり、あるいは、林業としても運用可能な典型を構築し、独特な台湾の自然生態で、この森林環境を、国際舞台に押し上げることによって、子孫たちに美しい未来を残してあける事に念願して居ります。


台湾大学実験林管理所所長-蔡明哲