国立台湾大学生物資源および農学院実験林管理所(以下「本実験林」と略称)の前身は、日本統治地時代の「東京帝国大学農学部付属台湾演習林」であり、創立は民国前10年(西暦1902年)のことである。台湾が祖国復帰後、初めは台湾省長官官庁に引き継がれたが、民国35年(1946年)7月に「第一模範林」を設立。それと前後して、嘉義と台中に山林管理所が加わり、移管された。民国39年(1949年)に国立台湾大学に引き渡され、「演習林管理所」が成立し、民国39年(1950年)7月に、「国立台湾大学農学院実験林管理所」と改称された。民国91年(2002年)8月、国立台湾大学農学院の名称変更に伴い、正式に今日の名称へと変更された。

本実験林の設立趣旨は、
1.教育実習2.学術研究3.資源保護4.モデル経営である

本実験林は台湾の中心に位置し、行政区画の南投県に属しており、鹿谷、水里、信義の三郷を跨ぐ細長い地形となっている。海抜220メートルの濁水渓南岸から3,952メートルの玉山最高峰に至り、面積は32,7770.28ヘクタール、台湾全省の総面積の約1%を占める。地形や地勢、作業の必要に応じて、全部で42林班(注訳:森林区画の単位)に分けられている。

本区画内における海抜分布の高低差は3,700メートルで、亜熱帯、暖温帯、冷温帯、亜寒帯、寒帯などの気候帯を網羅しているため、多様な森林体系が分布し、それぞれに異なった生態系の特徴があり、言わば台湾全土の森林の縮図である。また、東南アジア諸国における随一の、森林研究、教育、実習の絶好の場でもあり、保有する植物の種類が豊富という以外にも、生息している野生生物資源も極めて豊富であり、関係する様々な学校や研究機構から教育研究の用途として利用されているだけでなく、自然レクリエーションやエコツアーの場所として、一般の方々からも親しまれている。

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