自然保護と森林エコツアー:
自然保全  森林エコツアー 

自然保全
自然保全の趣旨は、天然資源の保護および管理を行うことで、天然資源の持続的な利用という目標を達成することである。現在、世界各国における森林経営は、生産、育成、森林エコツアー等の経営目的や、生態保全の理念と実践の強化以外に、各種林型や生態系をより積極的に選択し、保全エリアを設け、生態ルールに適応した森林生態系経営方式を実現させるために、システム的に各天然資源を保留する傾向にある。この業務が、本実験林における今後の保全計画の重要課題となる。

本実験林は海抜が異なる林帯ごとに、多種多様な群生型を包括しており、台湾中部山地の群生を代表するものである。その中には希少で絶滅が危惧されている種類もあり、また、動物の生息にとっては良好な環境であるため、台湾保全エリアにおけるネットワークシステムの要衝を担っている。現在、保安林(本実験林区域にある国家公園を含む)と保護林を設けており、その内、企画設置中の「対高岳クスノキ神木自然保護区」は南投県信義郷神木村に位置している。本実験林対高岳経営林区31林班に属しており、海抜1,300~2,180メートル、面積は約167ヘクタールである。台湾の典型的な天然クスノキ(カシ類)の群生地であり、中には台湾で最大最古の広葉樹であるクスノキ神木も生息している。一般の皆さまが生態保育、教育、研究などを行う際の、最良の場となっている。また、充実した保全エリアシステムを構築するために、本実験林は積極的に保育システムを改めて企画し、自然生態保育エリアと自然保留エリアを10ヵ所設け、種の保存、森林群生の構成、自然更新、更新メカニズム、森林経営技術の研究、経済効果の評価、などを行う試験林に当てている。

 
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本実験林は生育地の自然構成状況、保育対象もしくは保育目的に従って、保育エリアの計画をおこなっている
保育エリア名称 場所 面積(ヘクタール) 海抜(メートル)
 沙里山保安林  和社32~42林班 6,031  1,200~3,952 
 愛玉子渓広葉樹保護林  対高岳29林班 129  1,500~2,2100 
 対高岳クスノキ神木自然保護区  対高岳31林班 167  1,300~2,200 
 玉山高山生態系保護区  和社34~38林班 ***  3,000以上 
 八通関高山草原生態系保育区  和社41、42林班 ***  2,500~3,300 
 北玉山広葉樹生態保育区  和社39林班 ***  1,200~2,000 
 渓頭鳳凰山広葉樹生態保育区   渓頭3、6林班;內茅埔21林班 365  1,400~1,600 
 塔塔加雲杉保育区  和社33、34林班 340  2,000~2,600 
 東埔山紅豆杉保育区  和社33、34林班 ***  2,500~2,800 
 羅娜台湾杉母樹保育区  和社25林班 約100  1,300~1,500 
 牛稠坑﨔保育区  內茅埔23、24林班 約28  850~1,100 
 風櫃斗栓皮櫟保育区  內茅埔23林班 約3.4  700~900 

文化資産保存法、文化資産保存法の施行細則、野生植物保育戦略および実務に基づき、保留木と希少樹木2大種類についての定義を行い、特に本実験林管轄区内には非定義保留木や希少樹木2種の貴重な樹木が多くの存在することから、「台湾大学実験林管理所における貴重木、保留木および希少樹木の管理方法」を設け、貴重木の定義づけと、その樹種の保存を積極的に行っている。



森林エコツアー
都市の緑地が減少しているため、人々は大自然と触れ合う機会が減少し、自然との関係が次第に希薄している。人と自然の関係を再び築くために、本実験林は森林エコツアーと自然教育を積極的に推進し、人々に自然環境と生態保全問題を実体験し、認識してもらい、資源と生活環境間の関係に理解と関心を促している。生態エコツアーへの観念は、人々がツアー活動を通して生物多様性保護の重要さを知り、「生態保全」に取り組み始める、という目的から生まれた。一人一人が、生態バランスや環境品質を保護する実践者となることで、資源の永続的な利用が可能となり、次の世代でも安全で健康的な生活環境が創造できる。

本実験林は豊富な天然資源や充実した設備を有している。現在、強化され整備されたレクリエーション資源(渓頭、和社、鳳凰、東埔、下坪の自然教育パークと、水里木材利用・製品展示センターを含む)があり、充実且つ特色のある自然教育パークとして進化し続ける。エコツアーを普及させるため、管轄区内では多くのみどころを設けている。
» 渓頭の巨石歩道 » 植物進化探索パーク » 植物進化探索パーク
1. 全国初の冠層空中廊下を設置し、樹齢50年以上の杉人工林を通り抜けてことができる。森林学者が梢に登る感じを観光客に体感してもらい、1年の四季を通して、樹木の変化が観察でき、新しい志向で生態知識を深めることができる。
2. 全国初の「森林探索エリア」である。砂漠のように広い森林と、水がさらさらと流れる渓流及び豊富な生態資源と結びつき、曲がりくねった静かな小道とゲート(生態解説ステーション)をネットワークでつないでいる。観光客は一連の驚きの中、新感覚の森林体験ができる。
3. 植物進化探検パーク:現有する段々畑区域のブロック式苗圃地形を活用し、参観ルート沿いの両側に、年代順に重ねられた地質が見られる。鳳凰山種源収集理念が加わり、各段階における代表的な植物を見ることができ、さらに、大量のソテツと大型ヒカゲヘゴ、国内外では初の大型木製恐竜がセットとなって置かれており、家族全員での体験や、または学校の先生や生徒が生態教育研修を行うのに適している。

本実験林は921地震後、ロシアから寄贈された原木を特別に使用して、本鳳凰自然レクリエーションエリア内の納涼用休憩所に生態景観眺望回廊を再建しており、教育の意義を深めている。今年(民国96年、西暦2007年)、エリア内に75作目を設置した。また、大型南山、紅山、金花山では、教育実習の試験研究やエコツアーの時に、ツバキ169株を見ることができ、これ以外にも、竹山下坪自然教育パークエリアはリラクゼーションが楽しめる絶好の場所である。園内では樹木が生茂り、緑が溢れ、歩道の入り口は環境に配慮した木屑でできた歩道が使われているため、足を踏み入れた感触は非常に柔らかく、気持ちがよい。遊歩道の両側は樹木が密生しており、閑散とした森の奥地と違って心地がよく、爽快な気分にさせてくれる。自然教育の最良な屋外教室としての機能も持ち合わせている。

このようなことを踏まえ、エコツアーを推進するために、1987年から本実験林の渓頭自然教育パーク内ではボランティアによる解説サービスが提供されており、近年では解説サービスを行うボランティアやインターン教師へのトレーニングを積極的に強化するとともに、管轄内の各区では、研修や森林生態開設活動を頻繁に開催している。人々に森林の認識や保育観念の向上を推進し、社会教育機能を発揮させている。

現在、生態観察を目的とした各種ツアーが計画されており、どれも豊富な自然生態観察が柱となっている。例えば渓頭自然教育パークでは、豊富な鳥類、カエル類、昆虫、シダ植物等の生態が見られる。5月の「蛍ツアー」、11月の「竹文化節系列活動」、冬のタケノコ掘りなどもある。鳳凰自然教育パークではお茶の栽培と収穫、お茶の精製過程を体験する「お茶の科学と文化研修活動」がある。和社自然教育パークエリアの庭園サンプルパーク、塔塔加区域の高山森林エコツアーと東埔の星ツアー、水里木材利用・製品展示センターの木工DIY体験活動など、各エリアにはそれぞれに特色があり、今後も、異なった季節に異なった地域の観光客を臨機応変に受け入れ、充実感と喜びに満ちたエコツアーにしていくことを目指している。
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