植生 野生動物 気象と気候
植生
本実験林は北回帰線の北側に位置し、管轄区内における海抜の高低差は3,700メートルで、地形は非常に複雑である。多彩な生物資源が豊富に育ち、亜熱帯、暖温帯、冷温帯、亜寒帯、寒帯における各種森林植物が垂直分布し、まさに台湾の森林の縮図であり、また、東南アジア諸国における随一の、森林研究、教育、実習の絶絶好の場でもある。本実験林の面積は32,765.83ヘクタール、管轄区内における天然植生についての概述は下記の通りである。
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野生動物
本実験林は広大な面積の保安林、天然林、保護林を有しているため、台湾の数少ない野生動物が生息できる原野の一つになっている。現在、今なお見ることができる野生動物の種類は多く、その中で棲息、もしくは本実験林の境界を越えてやってくる鳥類は108種類を超えている。比較的に有名なのは、サンケイ、ミカドキジ、ヤブドリ、カンムリチメドリ、などである。哺乳類の例を挙げると、タイワンカモシカ、キョン、ムササビ、タイワンザル、などで、いずれも本管轄内で見ることができる。これまでの調査では、下記の表に示している種類数が見られることが分かった。
台湾大学実験林管轄区の動物種類数調査結果
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気象と気候
管轄区内の地勢は非常に複雑で、山脈は蛇行が続き、山々が起伏して連なっている。海抜の高低差が約3,700メートルあるため、気候の差も激しい。気候形態は海抜の高度に従って次第に上昇し、亜熱帯、暖温帯、冷温帯、亜寒帯、寒帯の5種の気候帯が存在している。本実験林管轄区内では、現在、気象観測を行う気象ステーションが合計6ヵ所ある。竹山ステーション、渓頭ステーション、清水ステーション、水里ステーション、内茅ステーション、和社ステーションである。
降雨量は治山治水作業に重大な影響を与える要因となるため、各林業排水工事、野渓が作成する横断面設計は全て長期的な雨量観測資料に頼らなければならなく、気象観測は流失量を推測する根拠ともなるわけである。本実験林は、流失の観測を行うために、1987年に渓頭鳳凰の集水区に量水堰堤を1ヵ所設置した。本実験林内の主な降雨形態は、「台風もしくは熱帯性低気圧による雨」、「梅雨」、「熱雷」、「集中豪雨」の4つに分類することができ、前の3種類の雨は5~9月に集中し、これは本実験林の雨季に当たる。この時期の雨量は年間雨量の76%以上を占め、特に台風もしくは熱帯性低気圧による雨は、非常に激しいものである。
最近の気象記録によると、年間の平均気温は4℃~23℃、一般的に1、2月の気温が最も低く、逆に7、8月が最も高い。管轄区内の年間平均降雨量は約2,500㎜であり、雨量は比較的に豊富だと言える。年間を通しての降雨形態に基づくと、乾季 (10月~翌年4月)と雨季は(5月~9月)に分けられる。