土地利用:
公共施設用地 公共用地 天然林 人工林 契約林用地

「台湾森林経営管理方案」が公布施行されたために、森林経営の目的は森林資源の積極的な育成へと変わり、国土の保全と森林レクリエーションに力を注ぐようになった。自然林の伐採を全面的に禁止し、自然区、生態区、野生動物保護区そして森林レクリエーションエリアを計画するとともに、契約している林業農家への造林の補助などに取り組んでいる。本経営の目的に従い、研究林エリア内の土地利用法については、自然林の保護と人工植林以外にも、林契約地、公共施設用地、公共用地、などの計画もある。

公共施設用地
当地における住民の日常生活に必要な公共施設と公共事業の設立、及び地域住民の生活レベルの向上と相互の親睦を深めるため、森林法第八条及びその他の行政が定めた関係法令規定により、本実験林経営業務に差し支えのないよう管理するという前提のもと、報告申請について本校が同意し、合計132ヘクタールの本実験林借用地を各機関の公共施設もしくは公共事業用地とする。
» 渓頭地区の満開のイチョウラン » 対高岳経営林エリア31林班の塔塔加夫妻樹
 


公共用地
1. 玉山国家公園:  
  本実験林約8,224ヘクタールを利用して、それぞれ一般統制区、 憩いのエリア、生態保護区、特別景観区等に編成されている。
2. 国立鳳凰谷鳥園:  
  本実験林の清水溝経営林区12林班管轄内に位置し、鳥類の生態保護と学術研究の強化のため、民国64年(1975年)4月に、台湾省政府が「鳳凰谷鳥園」計画を設立した。本実験林は30ヘクタールの土地を提供し、鳳凰谷鳥園と共同で経営管理することで、地域の繁栄を促進している。現在は教育部に移管されている。
3. 新中横道路用地:  
  交通部道路総局が、本実験林管轄内の27、29~33林班などの土地76ヘクタールを利用。中部地域の交通と、南投、嘉義、両県の産業発展に便宜を図るため、政府の12大建設の一つである新中横道路(台21線に編成)建設に提供している。
 


天然林
天然林の総面積は12,057ヘクタールである。面積は比較的広く、一般的な天然林以外にも、水源保養林、保護林、保安林、などもある。その多くが天然林と竹林の混生、もしくは険しい地勢、そして砂利である。樹木はまばらで、林業には不向きである。近年、天然林では伐採がほとんど行われておらず、将来的にはこのような回復を見込んでおり、この地区の天然林を残すことは、学生に実習と試験研究の場を提供するだけではなく、水土の保持や水源保養の機能を保有していくことでもある。
» 関山付近の天然タイワンスギ林
 
1. 保安林
  玉山山麓に位置しており、面積6,449ヘクタール、海抜1,200~3,952メートル、地勢はひどく険しい。日本統治時代に土壌保全のための保安林として編纂され、本省の国土保安上、極めて重要な地位にある。本保安林の様相は樹木がよく茂っており、良好。中部地区における濁水渓集水区の水土保持と水源保養については効果が非常に高く、現在、この全ての森林が玉山国家公園の範囲内に包括されている。
2. 水源保養林
  本実験林管轄区の人工林区域の森林を含む、本管轄区の渓頭経営林区第3、6林班、及び和社経営林区第25林班の天然林地区にあり、合計面積1,307ヘクタールである。当該地区は水源保養、土壌保全、景観の保護などの理由から、水源保養林方式で経営している。
3. 保護林
  本管轄区の対高岳経営林区29、31林班にあり、総面積は310ヘクタールである。日本統治時代にはクスノキ伐採禁止区域であったが、学術研究や林業経営に提供するために保護林に変更された。本区域の森林様相は樹木が生茂り、種類も豊富、ミカドキジやサンケイ等の珍しい鳥類の生息地でもあり、台湾最大のクスノキ神木も生息している。
 


人工林
人工林は本実験林における各種森林経 営において最も重要な一地帯である。民前3年(1903年)に最初の人工林が作られて以降90年以上の歴史を持ち、これまでに人工林内には数多くの長期成長量試験地が設置され、現在の管轄内における面積は8,815.77ヘクタール、樹種は40種類以上にものぼる。スギやコウヨウザンが主に生息し、その合計は造林総面積の約70%を占める。次に台湾杉、紅檜があり、近年ではスギやコウヨウザンの造林面積が激減する代わりに、台湾杉、タイワンハンノキ、ブナ、クスノキなど、台湾固有種が広い面積を占めている。これらはリスからの被害を減らすため、混合造林方式で植栽され、混合造林面積は50% を占めており、総じて、本実験林における
造林の特色にもなっている。
人工林育成の目的は、3大項目に総括することができる。1.木材資源の生産、2.林業生産力の向上、3.環境保護林の確立、である。前2項は純粋な林業で、特に経済林の経営を目的としている。最後の1項目は、近年、本実験林が遭遇した、不可抗力で予測不可能な天災後の再建の際に、または人工的な再造林計画において、大きな公益効果を生み出すことと、台湾における森林資源育成の目的のためである。

» 渓頭柳杉人工林
 


契約林用地
管轄している林地は、台湾の日本統治時代において前東京帝国大学付属台湾演習林管轄の林地を引き継いだものである。当時、管轄区内では日本統治時代に残された「竹林保護」、「竹林払下」の林地が入り混じっており、また、台湾祖国復帰前後に、本実験林の林地管理に急激な衝撃と変化が発生したために、管轄区内の住民はこれに便乗して勝手に植栽し、また竹林と墾地をむやみに掘り起こした。その後、本実験林はそれぞれ「竹林保護」、「竹林育成」、「造林協力」などの三種類の契約林用地として、この林地を整備する許可を得た。現在ある契約林用地は6,434ヘクタール、本実験林の面積約19.63%を占め、契約している林業農家は3,800以上も数える。林業農家が永小作権を激しく要求してきたため、民国78年(1989年)本実験林は政府の政策に協力し、国土の保全、教育、研究に対して比較的に影響を与えることがなく、かつ、恩恵を受ける人数が最も多い農宅地に対して、国有林地約207ヘクタールの解除申請を行った。
» マホガニー植栽の全民造林運動を申請す
 る清水溝経営林エリア7林班の共同造林地
» モウソウチクの竹林育成を申請する渓頭
 経営林エリア5林班保護竹林